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労働問題Q&A

残業手当を定額払いにすることができますか?

当社は、店長以下数名の店舗5箇所で生活雑貨を販売しています。出退勤はタイムカードではなく出勤簿で管理しているため、残業時間は店長が管理しています。給与は本店で一括して計算していますが、残業手当は、残業時間を積み上げて計算するのではなく、店長には3万円、主任には2万円、一般従業員には1万円の定額で支払っています。

しかし、実際の残業時間は月によって異なり、一部の従業員から不満が出ています。このように定額で残業手当を支払うことに問題はありますか。

残業手当を定額で支払うこと自体が必ずしも違法というわけではありませんが、実際の残業時間が定額残業手当に対応する時間を超えた場合には、その超えた時間分の割増賃金を別途支払う必要があります。したがって、実際に残業した時間を無視して定額で済ませている場合は、支払うべき残業手当とその差額については、賃金不払いとして法違反(労基法24条及び37条違反)となります。

 

 ◆残業手当の定額払い

原則として1週40時間・1日8時間を超えて労働させた場合、深夜に労働させた場合にはそれぞれ2割5分の、また、週1日または4週4日の休日に労働させた場合には3割5分の割増賃金を、それぞれの時間数に応じて支払わなければなりません。(労基法37条)

ただし、割増賃金はその時間数に対応して計算されたものより多く支払うことや、労基法が定める計算方法より多く支払うことには問題がありませんので、割増賃金を計算する手間を省くとともに、労働条件を改善するとの見地から、それを上回る、あるいは下回らない形で定額払いとすることは可能です。

しかし、中には、残業手当の「足切り」の形で定額制を採用している会社もみられます。このため、実際の残業時間が定額制に対応した時間を超えた場合には差額を支払うことを、制度的にも実務面でも担保しておかないと、過去にさかのぼって高額の残業手当の差額の支払いを求められることがありますので、注意が必要です。また、このため、毎日の労働時間数の把握は、適正に行う必要があります。なお、この労働時間数の把握に関しては、厚生労働省から「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平13.4.6基発339号)が公表されています。