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労働問題Q&A

ペアの営業職にノルマを課す賃金制度の問題は

当社は、テレホンアポインター(TA)と営業マンのペアで、訪問販売をしています。TAがアポイントできたお客標に営業マンが出向き、成約できた場合に初めてTAの実績としてカウントします。TAの賃金は、固定給+販売手当(歩合給)ですが「成約件数3カ月間10件」を目標としており、この目標を達成すれば、TAの販売手当が累進的に増額される賃金制度としています。TAからは優秀な営業社員とペアにしてほしいとの苦情が出ているのですが、このような賃金制度は法律的に問題なのでしょうか。

 どのような賃金制度を採用するかは、一般には、就業規則等で定められていますが、基本的には、公序良俗等に反しない限り、労使当事者が自由に決められます。それからしますと、TAの販売手当の算定方法(算定基礎を本人の職務の遂行とは直接関係の薄いペア営業マンの成約件数においていること、目標成約件数に達することにより累進的に増額すること)に多少不合理な面、改善すべき面があっても、法律的に問題とまではいえません。ただ、販売手当(歩合給)については、実績が上がらないことにより賃金総額が極端に少なくなる可能性がある場合には、労基法27条に基づき、労働時間に応じて一定の賃金を保障しなければなりません。

 出来高払制(歩合給制)は、成約件数や売上高、走行キロ数、製造量など従業員の成績に応じて賃金が定まる賃金制度であり、かつては保険外交員やタクシー、トラック等の自動車運転者、不動産業の営業職など主に会社の外で働く者がいる業種・業界で採用された賃金制度という印象が強かったのですが、昨今では、一般企業においても、成果主義賃金制度の一形態として採用する企業が増えているといわれています。
 この出来高払制は、売上げなどをどんどん上げる能力のある者や良く売れる物を扱う場合であれば何の問題もありません。しかし、どんなに努力しても売上げが伸びなかったり、あるいは従業員に責任のない事情により売上げがなかったりした場合の出来高給をどうするのかという問題があります。
 このような場合のために、労基法において、出来高払制で成績が上がらなかった場合でも、労働時間に応じ一定の賃金(保障給)を保障しなければならないことになっています(労基法27条)。

 保障給の額をいくらにすべきかについては、法律では決められていませんので、その額は、就業規則等に定めるほか、労使が自主的に話し合って決めることとなります。
 一般には、保障給の額は、平均貸金の6割以上とすることが適当と考えられています。その理由は、


① 通達により固定給割合がおおむね6割以上の場合には、保障給の定めは適用されないこと

② 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には平均賃金の100分の60以上の手当の支払いが義務付けられていること(労基法26条)

③ 自動車運転者の歩合給制の場合には「労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上の賃金が保障されるような保障給を定めるものとする」

とされていることによるものです。

なお、保障給は従業員が就労したが賃金に反映されないことを防ぐためのものであり、就労しなかった場合についてまで保障給の対象とするものではありません。

 出来高給制度を採用する場合は、最低賃金にも留意する必要があります。


 つまり出来高払いの賃金制度の場合、売上げがまったく上がらない場合には、給与は保障給のみということがあり得ます。このような場合があることを想定しますと、給与の全額が出来高給の場合の保障給は、それを時間額に換算した金額(保障給の総額÷総労働時間)が最低賃金額を下回らないように決めておく必要があります。また、固定給部分と出来高給部分とで成り立っている場合には、この出来高給部分の保障給の金額は、その金額を時間額に換算した額と固定給部分を時間額に換算した額とが、最低賃金額を上回るように決めておく必要があります。