トップページ >労働問題Q&A >解雇した場合、消化していない年休は買い上げなければならないのでしょうか

労働問題Q&A

解雇した場合、消化していない年休は買い上げなければならないのでしょうか

営業不振から店舗を9月末で閉めざるを得なくなり、8月中旬に、従業員に解雇を通知し、事務引継ぎをきちんとやるように命じました。ところが未消化の年休が28日あり、解雇日までに消化できないとして、事務引継ぎ等のため未消化となる22日分を買い上げるよう要求してきました。解雇日までに年休を消化させる義務が会社にありますか。また、未消化となった場合には買い上げなければならないのですか。

 使用者には残った年休を買い上げる権利も義務もありませんし、労基法では、年休の買上げは、原則として違法とされます。
 ご相談の場合は、雇用関係が終了する際の残った年休処理の問題なのですから、事前の年休の買上げという考え方ではなく、残った年休日数分に応じて調整的に金銭の給付を行うという考え方に立てば、年休取得を抑制する危険性は小さく、事前の買上げを禁じた通達の趣旨に大きくは反しません(ただし、このような取扱いが慣行なり事実上制度化している場合には、年休取得の抑制効果を持つようになると、年休制度の趣旨からなお問題なしとはしないでしょう。)。
 使用者にとって、残った年休の買上げの請求に対して適切に処理することは、従業員との間の当面の摩擦を解消できるだけでなく、後日、事務引継ぎや残務処理を指示されたため年休を消化できなかったとして損害賠償が請求されるような事態への不安を解消できることともなり、従業員にとっても、残った年休を消化した形で退職するほうが利益になることは明らかです。
 そこで、現実的な処理として、残った年休の買上げ請求については、解雇予告囗から退職までの間に、事務引継ぎ等をしなければ消化することが可能な年休日数の範囲で、従業員から自らの意思で買上げを請求してきた場合にのみ、金銭給付という形で応じることにしたらいかがでしょう。
 この場合、注意しなければならないのは、使用者が事務引継ぎや残務処理を重要視するあまり、そのために年休は付与できないという対応をとってしまうと、いくら代償として金銭給付の形をとったとしても、労基法39条違反を指摘されかねません。年休を取得するか否かは、必ず従業員の主体性に委ねることが肝要です。
 いずれにせよ、退職にあだっての年休処理の問題が発生しないよう、普段から年休を取得しやすい環境の整備を図っていくことが、使用者としてはむしろ重要な点であると考えられます。

解雇あるいは退職が決まっている従業員に対しても,使用者には年休を消化させる義務はなく,これを買い上げる義務もありません。
しかし、一方では、従業員が退職日までに残りの年休をすべて請求したとしても、時季変更権を行使する余地がほとんどありませんので、すべて与えざるを得ず、与えない場合は労基法39条違反となります。

 ご相談の場合、事務引継ぎや残存業務の始末等で、会社としてどうしても必要な業務が年休の取得でできなくなることも想定されますが、退職日以降に別に有償で処理してもらうか、退職日を必要な日数繰り下げるかなどの方法について従業員に提案して話し合うのがより現実的な対応として考えられるでしょう。