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「残業青天井」に歯止め 「36協定」の抜け穴、見直し議論開始

 残業時間の上限が事実上青天井になっている時間外労働規制の強化に向けた政府の議論が始まった。厚生労働省の検討会がまとめる論点を踏まえ、安倍政権が新たな目玉政策に据える「働き方改革」の一環として、上限規制の見直しが検討される見通しだ。

 厚労省で開かれた有識者らによる検討会の初会合。会場には一般の傍聴者や報道陣らが詰めかけ、用意された傍聴席はほぼ埋まった。「働き過ぎ」による過労死や、男性の家事や育児への参加が進まないことが社会問題となるなか、長時間労働是正への関心の高さをうかがわせた。

 いまの仕組みでは、労働基準法36条に基づいて、残業時間の上限は労使の合意による協定(36〈サブロク〉協定)で定めることができる。法定労働時間を超える残業には「1カ月45時間まで」という基準はあるが、行政指導の基準で法的な強制力はない。

 さらに、仕事が忙しいといった「特別な事情」があれば、特別条項がついた協定を労使が結ぶことで残業時間を事実上青天井にできる「抜け穴」があり、特別条項で過労死の労災認定基準(月80時間超)を上回る時間を上限とする企業も少なくない。

 総務省によると、「過労死ライン」の月80時間を超える残業をしている働き手は2015年時点で450万人。減少傾向にあるものの、雇用者全体の8・2%を占める。年代別・性別にみて最も高い「30代男性」は15・6%にのぼる。

 厚労省によると、国内の事業場で特別条項つきの「36協定」があるのは22・4%。特別条項の上限が過労死の基準を上回る事業場も4・8%にのぼり、大企業に絞れば、この比率は14・6%に達する。

 ■新たな規制導入、焦点

 「36協定」の見直しを巡っては、労使の代表が参加する厚労省の審議会などで議論が重ねられてきた経緯がある。しかし、「一律に規制すれば、職場が回らなくなる」といった経営側の反対が根強く、実効性が伴う改革は実現していない。

 ただ、共働き世帯の増加や介護離職の深刻化を受け、経営側も長時間の残業を前提とした「働かせ方」の見直しを迫られている。安倍晋三首相は3月、「長時間労働は少子化の原因や女性の活躍を阻む原因になっている」と言及。6月に閣議決定した「1億総活躍プラン」に「36協定のあり方の検討」が盛り込まれた。残業時間の上限を厳しくする新たな規制の導入が今後の議論の焦点になりそうだ。

 最も厳しい見直しとして、残業時間の上限を労基法に明記して「抜け穴」をつぶし、上限を超える働かせ方をした企業に罰則を科す案が浮上している。上限に法的な強制力を持たせず、行政指導にとどめる方法もありうる。

 具体的な制度設計にあたっては、「上限を何時間にするのか」「例外をどこまで認めるのか」といった難題が待ち構える。例外規定一つとっても、「あらゆる業界が例外入りを求めてくるため、調整は容易でない」(厚労省幹部)。

 厚労省の検討会は年末ごろに論点整理を終える予定。政権はそれを踏まえ、月内にも初会合を開く「働き方改革実現会議」で改革の道筋をつけたい考えだ。(朝日新聞)
  中小企業経営者協会 岡本経営労務事務所
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