不法就労の芽摘め 労基署・警察、店向けに研修会
2017年4月 5日
増加する外国人の不法就労に歯止めをかけようと、警察などが飲食店やコンビニエンスストアなどへの指導・啓発を強化し始めた。人手不足の解消を優先し、甘い身分確認で外国人を不法に雇うケースが後を絶たないためだ。2020年東京五輪・パラリンピックを控え訪日外国人が急増する中、警察当局は不法就労目的の外国人への警戒を強めている。
「資格がないと知りながら外国人を雇えば店側も不法就労助長罪になります。しっかり身分確認をしてほしい」。3月中旬、羽田空港(東京・大田)内の会議室。警視庁の捜査員が、空港内の飲食店や土産物店の店長ら約70人に呼びかけた。
警視庁が同空港内のテナント向けに不法就労防止の研修を開くのは初めて。アルバイト不足を解消するため外国人の雇用を検討する店が今後増えると見て、警視庁側が開催を申し入れた。
捜査員は「採用面接では在留カードをよく確認することが大切」と強調。最近出回っている嘘の在留資格や期間を記した偽造カードの見抜き方をレクチャーした。
参加した和食店の女性店長(52)は「採用時に役立つよう、もっと詳しい研修も受けたい」と話した。警視庁は既に約20回実施し、今後はコンビニのフランチャイズチェーン店の店長向けにも始めるという。
警視庁が飲食や建設業向けの研修に乗り出した背景には、不法就労者の増加がある。警視庁は今年2月、不法残留のベトナム人を解体工事現場で働かせたとして、解体工事業の男性社長を不法就労助長容疑で書類送検した。警視庁によると、16年に延べ約4千人を工事現場で働かせ、約5千万円の利益を得ていた。社長は「月12万円の安い賃金で働き、会社にとってはなくてはならない存在」などと供述していたという。
警察庁によると、こうした外国人に不法就労をさせたり、あっせんしたりした不法就労助長罪の15年の摘発件数は369件で、前年を5.1%下回った。しかし、15年に国内の不法就労者数は10年ぶりに増加に転じた。東京五輪に向けてさらに増えることが懸念され、警視庁は「不法就労の受け皿をなくす活動も重要」としている。
東京都も飲食店などを巡回しての指導を強化している。これまでは六本木や新宿が中心だったが、最近は国分寺市など23区外にも対象エリアを拡大。居酒屋やコンビニを職員が回り、外国人を採用する際の注意点をまとめたマニュアルを配っている。
多くの店が集まる東京・渋谷地区を管轄する渋谷労働基準監督署では3月、警視庁や東京入国管理局と連携して外国人労働者の労務管理に関する研修を開いた。区内の人材派遣会社の経営者ら19人が参加した。
日本大の高宅茂教授(入管法)は「不法就労で最も利益を得るのは、弱い立場の外国人を低賃金で働かせる雇用主だ。警察などはこうした雇用主を積極的に摘発するのと並行し、適切な労務管理が広がるよう啓発を一層強化していくべきだ」としている。【日本経済新聞】
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