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労働問題Q&A

売上目標未達成を理由とする普通解雇は

 当社には、勤続10年の正社員がいます。彼は新規大卒で当社に採用され、営業課に配置替えになって3年になりますが、前年の個人別売上目標を3割下回っているので、解雇を考えています。こうした解雇は法的に有効でしょうか。

1 判例の判断基準は

 判例で普通解雇の合理的理由の一つとして「勤務成績、勤務態度が著しく不良で就業に適しないとき」には、その解雇はやむをえないと認められています。

 個々具体的なケ-スで、能力不足を理由としてその社員を普通解雇できるか否かは、能力不足が労働契約の債務不履行といえるほどのものか否か、今後、契約を継続できないほど著しく、解雇(労働契約の解約)事由に該当するか否かということで判断されます。

 

2 新規学卒者の普通解雇は

 それでは、企業が新規学卒者を一括採用する際の労働契約の記載はどうなっているかというと、「当社に採用する」ということだけであって、具体的な配置部署、担当業務、必要とされる職務遂行能力などは契約内容となっていないことがほとんどです。

 このため、一般的にいって、新規学卒で一括採用された一般職、総合職の社員を、単に能力不足であるとして解雇することは困難です。

 ただし、著しい能力不足で会社の業務にまったく適しない特別の事情がある場合は、例外的に普通解雇が認められます。

 この場合、目標の未達成の原因が単なる能力不足ということだけではなく、業務に対する取り組みの熱意、意欲が著しく不足していたり、勤務態度が不良であることによるもので、上司がたびたび注意しても改まらないといった事情も必要です。

 

 3 質問についての回答は

 ご質問のケ-スについては、新規学卒者の一括採用で雇用されたものであり、営業部門での一定の売上目標の達成が労働契約の内容となっていないと思われること、1年間の売上目標額を3割下回ったことのみをもって「勤務成績が著しく不良で......就業に適しないとは断定できない」ことから、他に著しい勤務態度不良などがなければ、解雇は無効であると思われます。