今、職場では、パワハラの相談件数が急増しています。

厚生労働省の「個別労働紛争解決制度実施施行状況」によると、いじめ、嫌がらせに関する相談が近年では約60,000件となっており、2002年度の6,627件と比べると10倍近く増加していることになります。

パワハラは、従業員の人格を傷つけ、うつ病を発病させるなど、被害者に大きなダメージを与えるものです。

また、雇用不安を招き、ひいては人材の流出や生産性の低下を招くなど、企業経営に深刻な影響を与えます。

加害者が法的責任を問われるのは勿論のこと、事業主もセクハラと同様民法における職場環境配慮義務違反や使用者責任を問われ、社会的なイメージダウンは避けられません。

2012年3月、厚生労働省の「職場のいじめ・いやがらせ問題に関する円卓会議」により、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」がとりまとめられました。

2019年5月、参議院本会議で「パワハラ関連法」(労働施策総合推進法の改正) が成立しました。

※施行時期は、早ければ大企業は2020年4月、中小企業が2022年4月と報じられています。

パワーハラスメントの定義、該当し得る言動について次のように示されています。

【同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為】

 ■「職場」の範囲

  労働者が業務を遂行する場所

  ⇒通常就業している場所以外も含む

【例】 ・取引先の事務所、打ち合わせをする飲食店等

    ・就業時間以外の宴会、休日の連絡等

■「職場内の優位性」

  ⇒相手に対して実質的に影響力のある者

  ⇒同僚であってもキャリアや技能に差がある場合

■「業務上の適正な範囲」

  ⇒業務上必要な指導を、相当性を欠くとは言えない範囲内(表現、回数、態様等)で行うものは、相手がどう受け止めるかにかかわらずパワハラには該当しない。

  該当し得る言動

(1) 暴行・傷害

(2) 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言

(3) 隔離・仲間外し・無視

(4) 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害

(5)業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと    

(6) 私的なことに過度に立ち入ること